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【エクストルージョンのデメリット】できるだけ歯を抜かない治療法・抜歯回避の処置について Blog

歯科医 永田 さやか (ながた さやか)
スカイ&ガーデン デンタルオフィス 院長

できるだけ歯を抜かない治療法:抜歯回避の処置「エクストルージョン」「クラウンレングスニング」

歯肉の奥深くまで虫歯が進行していたり、歯が部分的に折れたりすると「歯の根(歯根)」だけになってしまうことがあります。通常の虫歯治療で残っている歯質が歯根のみになってしまうと、最終的に装着する被せ物をしっかり支えることができない為抜歯となってしまいます。

長持ちする被せ物を作る為には、歯の全周が歯肉より上に最低1mm出ていることがとても大切です。

この1mmの部分に被せ物を接着させることができると、根と土台それぞれに咬合力が分散され被せ物が安定します。

この力分散をフェルール効果(箍の効果)と呼びます。フェルール効果を獲得することが、被せ物の長期安定と細菌の侵入による感染を防ぐ為に欠くことのできない必須条件なのです。

歯肉の下に健康な歯質が充分に残っており、歯を支える歯槽骨がしっかりしている場合には「エクストルージョン(矯正的挺出術)」や「クラウンレングスニング(歯冠長延長術)」を行うことによりフェルールを獲得し、抜歯を回避できることがあります。

◆エクストルージョン(矯正的挺出術)とは

「エクストルージョン」は、埋もれた歯根を歯肉の上まで引っ張り出す方法です。歯根に金属のフックを取り付けて部分矯正用のゴムの力でゆっくり引き上げます。数か月単位の治療期間を要するため、前歯など目立つ場所の場合には仮歯で装置を隠し、審美性にも配慮致します。

*エクストルージョンのメリット

抜歯を回避できる

*エクストルージョンのデメリット

  • 健康保険がきかない
  • 適応症が限られる
  • 治療期間が長い
  • 歯根が短くなるため、咬み合わせを支える力が弱くなる場合がある。

*エクストルージョンQ&A

Q1、治療中、痛みはありますか?

A1、ゴムの弱い力で徐々にゆっくりと引っ張っていく治療方法のため、治療中の痛みはほとんどありません。ゴムを交換した日と翌日くらいまで軽い違和感がある程度で、すぐに慣れてきます。一般的なワイヤー矯正での動きのような痛みはありません。

Q2、治療中、見た目に支障はありませんか?

A2、治療中は、日常生活の見た目に支障のないように仮歯を入れます。仮付けしており、強く噛める歯ではありませんので、食事中は前歯で噛み切る行為は避けてください。

Q3、期間はどれくらいかかりますか?

A3、被せ物の歯質を確保するために最低1か月間は引っ張ります。その後、戻らないよう固定する必要があり(固定しておかないと歯根はまた引っ込んでしまうため)、全体で3か月はかかります。その後、最終的な被せ物をしていきます。

◆クラウンレングスニング(歯冠長延長術)とは

クラウンレングスニングとは歯肉を少し下げ、虫歯や歯が割れている部位を歯肉の上に露出させる治療法のことです。

しっかりとした土台を立てることができ、精密な型取りが可能になれば被せ物も長持ちします。

*クラウンレングスニングのメリット

  • 抜歯を回避できる
  • 治療期間が短い
  • 歯の長さや歯肉の高さを揃えることができる(審美治療での応用)
  • 歯周ポケットの改善が期待できる場合がある
  • 歯の高さが低く被せ物が長持ちしない(外れやすい)場合に高さを増すことができる

*クラウンレングスニングのデメリット

  • 健康保険がきかない
  • 知覚過敏が起こることがある
  • 適応症が限られる
  • 部位周辺の歯茎が下がることがある

エクストルージョンもクラウンレングスニングも抜歯を回避する方法です。歯を抜いてしまう前に「残せるかどうかもう一度検討したい」という方は是非一度ご相談ください。

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