歯科医院で神経を抜く治療、根管治療を受けて治療は終わっているはずなのに、痛むという経験はありませんか?
「痛いから治療をしたのに、まだ痛むなんて!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。今回は神経を抜いた歯がなぜ痛むのか、原因と対処法について解説していきます。
神経を抜くってどういうこと?
「神経を抜いた歯」はどういう状態なのでしょうか?人間の歯は3層構造になっており、外側のお口の中に露出しているエナメル質、その内側で少し柔らかく褐色の象牙質、そして神経と血管の複合体が入る歯髄腔と根管という空洞に大きく別れています。
虫歯が大きく進行し、エナメル質と象牙質が破壊され、虫歯菌が歯髄腔に達して神経と血管の複合体である歯髄に感染すると、激烈な痛みが出ます。歯髄は一度感染すると治るということはないため、痛みを抑えるには虫歯菌が感染した歯髄は全て取り除かなくてはなりません。
この時行うのが「神経を抜く」=抜髄という処置です。虫歯を全て取り除き、歯髄腔と根管に入っている歯髄を全て除去し、消毒する治療です。
神経を抜いた歯が痛むのはどんな時?
神経を抜いた歯は、根管内をきれいにしてそこに防腐剤を詰め、土台を作ります。この上に被せ物をすれば、元の状態に近づき、噛んだり食べたりできるようになって治療は完了です。
では、治療が終わった歯が痛むのはどのような時でしょうか?考えられる理由は大まかに2つあります。
1つ目は噛み合わせ、もう1つは歯そのものの問題です。
噛み合わせで痛む
神経の治療には長い時間がかかることが多く、その間その歯は噛んでいない状態です。そのため、被せ物が入って急に噛めるようになると、歯の根を覆っている歯根膜(歯と骨をつなぐクッションのような組織)が刺激を受けて痛みを感じることがあります。
また、治療中に周囲の歯が動いてしまったり、もともと噛み合っていた歯が伸びてきてしまうということがあります。最初は少し違和感があり、痛みを感じることもあるかもしれませんが、少しずつ慣れてくるようであれば大丈夫です。
しかし、痛みが強いときは噛み合わせの調整が必要です。歯根膜が傷んでいる場合は捻挫と同じようなものですので、あまり噛まないようにして歯科医院へ連絡しましょう。被せ物をほんの少し調整するだけで解決する場合もあります。
被せ物の素材によっても痛みは変化する!?
金属の被せ物は硬すぎて歯を痛める可能性があります。
また、土台を金属で作っている場合は振動が伝わりやすく、影響が受けやすいケースも見られます。
ファイバーコアやセラミックは身体に優しい素材のため、影響を最小限の抑えることができ、噛み合わせも緊密に調整することができます。
(関連記事:虫歯の治療はセラミックの方がお得?目立つ銀歯を白くするメリットとは? )
歯に問題がある場合
歯の根の治療が終わっても、完全に治癒しないこともあります。根の形態は非常に複雑で、肉眼では根管の入り口が見つけきれず、処置されずに残っていることもあるからです。
また、根の中の細菌が完全に除去できたかを判定するのは非常に難しいため、根の治療は再発のリスクが高いと言われています。
根の中に細菌が残っている場合、根の先で増殖して膿の袋を作ることがあります。痛みなく進行することもありますが、風邪をひいているときなど免疫力が落ちていると細菌の増殖スピードが速くなり、痛みが増強することがあります。
その場合の痛みは非常に強烈で、麻酔も効きにくいため、レントゲン写真などで膿の袋が確認された場合は症状がなくても早めに治療しておくことが大切です。これらのケースでは、いずれも根の再治療が必要です。
根の治療を繰り返さない秘訣は?
根の病気は再発を繰り返しやすい疾患ですが、適切に処置を行うことで再発率を下げることができます。
マイクロスコープを使用して治療すれば、虫歯の取り残しや根の入り口の見逃しを防ぐことができ、精密な治療が可能です。スカイ&ガーデンデンタルオフィスでは、マイクロスコープを導入し、精密な治療を心がけています。
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かかりつけ医での定期的なメンテナンスが大切です
根の病気はお口の中を一見しただけではわかりにくく、自覚症状も少ないため、レントゲン写真で偶発的に見つかることが多くあります。
また、噛み合わせの変化もご自身では気付きにくいため、継続的にかかりつけ医でチェックする必要があるでしょう。
根の治療は難しく、できればそうなる前に治療した方が良いと考えられます。定期的に歯科医院に通ってメンテナンスを受けることで、虫歯のリスクを減少させ、虫歯の早期発見・早期治療が可能になります。