被曝の影響を恐れて「できればレントゲン検査を受けたくない」と感じていませんか?
撮影の種類によって被爆量や被爆部位の広さは異なりますが、レントゲンによる検査は歯科治療を受けるうえで欠かせない検査です。まずは歯科医院のレントゲンがどれだけの影響があるかを正しく理解することからはじめましょう。
歯科医院のレントゲンによる被曝の影響は自然放射線以下
歯科医院ではレントゲン撮影の際、患者様に鉛が入った防護服を着用していただきます。人体への影響を表す単位を「シーベルト」といいますが、健康に被害を与える被曝の数値は「100ミリシーベルト以上」とされており、歯科医院のレントゲンでは0.01〜0.1ミリシーベルト程度しか発生しません。防護服には放射性物質を遮断する効果があり、着用することで被曝の影響はほぼゼロになります。
人は大地や大気、食べ物からも少なからず被曝の影響を受けていますが、生活するうえで欠かせない自然放射線よりも歯科医院のレントゲンのほうが数値は桁違いに低くなっています。過度に心配する必要はありません。
歯科医院のレントゲン別でみる放射線量
歯科医院で行うレントゲン検査にはいくつか種類があり、それぞれシーベルトの数値が異なります。どんなときに撮影するのかについても合わせてみていきましょう。
デンタルエックス線
お口のなかに入れて部分的に撮影するデンタルエックス線検査は、主に痛みや違和感があるときや根っこの治療などで行われます。被曝の影響は1枚あたり0.01ミリシーベルトです。
パノラマエックス線
お口全体を撮影するパノラマエックス線検査は、初診で口腔周囲の全体把握が必要の方、治療を行ってお口の環境が大幅に変わった方、しばらくレントゲン検査を受けていない場合にも行われます。顎関節症の診断にも有効です。被曝の影響は1枚あたり0.03ミリシーベルトです。
歯科用CT
歯や顎骨、神経や血管などを3Dで立体的に確認できるCT検査は、インプラント治療や難しい親知らずの抜歯などでは必須の検査となります。その他に上顎洞の炎症を見たり、嚢胞の大きさを確認したり、過剰歯の位置確認にも必要とされます。被曝の影響は1枚あたり0.1ミリシーベルトです。
歯科で行われるレントゲンは、一年間の限度とされる数値の10〜100分の1程度です。胸部や胃など別の部位のX線検査より被曝の影響は少ないため、安心して受けられます。
レントゲンを撮らずに治療をおこなうリスク
レントゲンを撮らずに歯科治療を行うと、以下の問題につながる場合があります。
歯を長持ちさせるためにも、必要な場合は検査をお受けください。
歯を削りすぎてしまう
むし歯になっている部位は、レントゲン上で黒く映ります。ある程度の大きさを確認できるため、事前に検査をしておけば大幅に削りすぎてしまうことはありません。麻酔が必要かどうかを判断する材料にもなります。
神経を取る可能性が高くなる
必要以上に削ってしまうと露髄(神経が外に見えてしまうこと)するリスクが高まります。
神経までむし歯が進行している場合は神経の処置が必要になるため露髄しても問題はありませんが、菌に感染していない状態で露髄してしまうと、本来であれば失わずに済んだ神経を取る必要がでてきます。歯の寿命が短くなる原因であるため、注意が必要です。
神経や血管を傷つける可能性が高くなる
神経や血管を傷つけると、顔面麻痺や出血多量など大きなトラブルにつながる可能性があります。とくにインプラント治療や難しい親知らずの抜歯ではリスクが高くなるため、注意しなくてはいけません。事前に歯科用CT検査をして状況を正確に把握することが大切です。
トラブルの早期発見ができない
目視で分かる情報はほんの一部にすぎず、歯の内部の状態を正確に知るにはレントゲン検査が必須です。お口トラブルの多くは、ある程度進行してからでないと自覚症状がでません。初期の段階でみつけて早めに対処することで、歯を長持ちさせられます。
影響が最小限のレントゲン検査で質の高い歯科治療を
歯科医院のレントゲンによる被曝の影響はごくわずかであり、胸部や胃など別の部位のX線検査とくらべると安心して受けられるレベルです。当院では事前に防護服を着用していただいてから撮影を行いますので、影響がほとんどゼロの状態で検査することが可能です。レントゲンは質の高い歯科治療をご提供するうえで欠かせない検査ですので、必要な場合はご協力をお願いします。