私たちの口の中で常に分泌されている唾液。一見何気ない存在ですが、実は身体の健康を維持する上で非常に重要な役割を担っています。今回は、唾液の持つ色々な機能をご紹介します。
唾液の基本的な役割
唾液の働きは、単に口の中を潤わせるだけではありません。唾液はさまざまな機能を担っています。順番にご紹介いたしますので、いくつ知っているか確かめてみてください。
消化を助ける
アミラーゼという酵素が唾液には含まれています。この酵素は、炭水化物の消化を開始する役割を果たします。つまり、私たちが食事をする際、口の中で既に消化のプロセスが始まっているのです。
口腔内を清潔に保つ
唾液には、口の中を洗い流す作用があります。食べかすや細菌を洗い流すことで、口腔内を清潔に保ち、虫歯や歯周病のリスクを低減させます。
pH調整
唾液には、口腔内のpHを中性に保つ働きもあります。酸性に傾きがちな口内環境を中性にすることで、歯の表面にあるエナメル質が溶ける「脱灰」を防ぎ、虫歯の予防に貢献します。
お口の健康と唾液の関係
唾液の分泌量が少なくなると、以下のような口腔トラブルにつながる恐れがあります。
虫歯のリスク増加
唾液が十分に分泌されなくなると、口腔内の自浄作用が低下して食べかすが歯に付着したままになりやすくなります。これにより、虫歯のリスクが高まります。
口臭の発生
唾液の減少は、口腔内の細菌増殖を促進し、口臭の原因となることがあります。十分な唾液の分泌は、爽やかな息を保つ上でも必要不可欠です。
味覚への影響
食べ物の味を感じる上でも唾液は大切な役割を果たします。唾液の分泌が少ないと、味覚が鈍くなることがあります。
全身の健康と唾液の関係
さらに、唾液は口の中だけでなく、全身の健康にも関わっています。
免疫機能のサポート
唾液には、リゾチームやラクトフェリンと呼ばれるような抗菌性タンパク質が含まれています。これらは口腔内の細菌の増殖を抑制し、感染症から身体を守る役割を持っています。
ストレスの指標
ストレスレベルを測る指標としても唾液が注目されています。ストレスが高い状態では、唾液中のコルチゾールというホルモンの濃度が高くなります。この現象を利用した唾液検査によって、ストレスの状態を評価することができます。
全身疾患の早期発見
唾液の成分分析は、全身疾患の早期発見に幅広く役立つ可能性があります。例えば、糖尿病や心臓病、特定のがんなどの兆候が唾液中に現れることがあります。将来的には、唾液検査が簡便で非侵襲的な健康診断の一部となるかもしれません。
唾液の分泌を促す方法
このように、大事な働きを持つ唾液。もし唾液の分泌量が少ないと感じる場合は、以下の方法を試してみましょう。
よく噛んで食べる
食事の際によく噛んで食べると、唾液の分泌が促進されます。また、咀嚼回数を増やすことで、消化を助ける働きもあります。例えば、ガムを噛むと唾液の分泌を促せます。ただし、長時間噛み続けることは顎に負担をかけることがあるので注意が必要です。
水分摂取を心がける
適度な水分摂取は体全体の水分バランスを整え、唾液の分泌を助けます。
唾液も含めた口腔予防ケアが重要
虫歯や歯周病の予防には、唾液の量や質も関係しています。カリオグラム認定医療機関に登録されているスカイ&ガーデンデンタルオフィスでは、唾液検査を実施し、一歩進んだ予防プログラムを実践しています。(唾液検査については以前の記事でもご紹介しています。)定期的な歯科検診と唾液検査による早期発見・早期対応は、口腔トラブルの予防につながります。唾液の分泌を促進させることに加えて、毎日の歯磨き、セルフケアも欠かせません。唾液量が減少する夜間は虫歯のリスクが高まるため、就寝前の歯磨きは特に丁寧に行いましょう。
まとめ
唾液は、私たちの健康を支える大切な役目を持ちます。その働きを理解して適切なケアを心がけることで、お口の中だけでなく全身の健康維持につながります。唾液の役割を意識し、毎日の口腔ケアに取り組んでいきましょう。