もし自分が患者だったら
どんな治療を受けたいか?
“If I were a patient”
We think about that
question
その疑問の答えが、当院で行っている治療です。
「とにかく歯を抜かず、あまり削らずに健康な状態を長くキープしたい」と思うのは、歯科医師だけではないと思います。
歯の世界は非常に細かく、人の目で見える範囲には限りがあります。歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用すると、肉眼では見ることのできなかった細部まで正確に捉えることができ、人間の目の限界を思い知ります。健康な歯を削らず、痛みのない正確で精度の高い治療を可能にするのが当院で行う「虫歯治療」なのです。
虫歯になってしまった歯を、
少しでも良い状態で
保たせるために
歯は削ってしまうともう二度と元には戻りません。削ってしまった分だけ、歯の寿命は短くなるのです。しかし「虫歯治療」を行うことにより、歯を削る量を最小限にとどめることができるため、痛みを少なく、歯の寿命を通常の治療よりも長く保たせることができます。また、治療を精密に行い、詰め物や被せ物の精度を上げることで、長期にわたって安定した状態を維持することができます。
精密歯科治療に不可欠!
歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)の
有用性
マイクロスコープとは、歯科治療に用いる歯科専用の顕微鏡を指し、最大約20倍まで患部を拡大して診ることができます。
マイクロスコープはその有用性から、欧米ではほとんどの歯科医院に設置されていますが、日本での普及率は全国68,000件の歯科医院に約6000台しか導入されていないとも言われています。多くのマイクロスコープは根管治療(根の治療)に利用されていますが、当院で審美歯科治療や歯周病治療など、幅広い治療において積極的に使用しています。
治療前の診査・診断
顕微鏡拡大下では、歯科医師が得られる情報量が圧倒的に増えるため、歯科治療を行う上で最も重要な診査・診断にマイクロスコープを用いることは非常に有効です。歯のヒビ(マイクロクラック)や神経の治療における細い根管などは肉眼で見ることが非常に困難です。マイクロスコープはこれらを拡大した視野に明らかにすることができ、虫歯の範囲なども正確に把握することができます。そのため、健康な歯質をできるだけ残す、なるべく削らない治療が可能になります。
根管治療(根の治療)
歯の内部にある神経の管(根管)の数や曲がり具合は十人十色で、経験と勘だけでは攻略不可能な根管治療(歯の神経の治療、根の治療)は非常に難易度が高く、歯科治療の中では比較的成功率が低いと言われています。根の中は暗く光が届きにくいだけでなく、根管の入口は非常に小さいため、肉眼で全ての根管を発見するのは難しいのです。しかしマイクロスコープがあれば、強力なLEDライトと拡大された視野で確実に治療を行う事ができます。しっかりと患部を確認しながら治療することで、治療成績が向上します。
コンポジットレジン修復
(ダイレクトボンディング)
コンポジットレジンとは、虫歯治療で使う白い詰め物のことです。通常、コンポジットレジン修復のクオリティは術者の技術にかなり左右されますが、マイクロスコープを用いることで、より複雑な形態を再現したり、色調を合わせて自然な仕上がりにすることが可能になりました。
詰め物・被せ物の治療
(審美修復)
詰め物や被せ物で歯を修復するためには、歯の形を整えて型採りをする必要があります。歯の縁がきれいに整っていれば、補綴物(詰め物や被せ物)がきれいに仕上がり適合が良くなります。装着時もフィットを確認することができ、拡大画像をご覧いただくことも可能です。適合が良いと隙間や段差がないため、その部分に汚れが溜まりにくく、虫歯再発や歯周病のリスクが低くなります。
動画の録画、拡大視野の撮影
マイクロスコープで拡大した治療の様子を精細な動画で記録することが可能です。患者様にご自身の歯がどのような状態であったのか、どんな治療を行ったのかを確認していただくことができるため安心です。
マイクロスコープの
欠点をカバーする拡大鏡
マイクロスコープには前述のようにさまざまな利点がありますが、いくつかの欠点もあります。まず1つは操作が難しく機械自体が非常に高価という点です。当院では十分にトレーニングを積んだ経験豊富な歯科医師が治療にあたっていますが、マイクロスコープの操作は煩雑で慣れていないとピントを合わせるのにも苦労します。2つ目は自由度が少ないことです。マイクロスコープはまっすぐにしか物を見ることができないため、鏡を使ったミラーテクニックが重要になります。こちらも熟練にはトレーニングが必要です。また、マイクロスコープは強拡大のため、視野がぶれやすく、狭くなってしまい、そのため治療に時間がかかってしまうこともあります。
拡大鏡は、マイクロスコープほどの拡大率はないものの、メガネのように使用することができ、術野のぶれも少なくすることができます。軽度の虫歯や歯周病治療などは、拡大鏡を用いることで、治療時間を短縮しながらも精密な治療を行うことができます。
積極的に神経を残す
虫歯が大きく進行し、神経を取った歯でも、咬む感覚は変わらないため神経を取る前と同じように食事をすることができます。しかし、歯の神経の有無は歯の寿命を大きく左右します。
神経を取ってしまうと歯は脆くなり、割れたり折れたりする可能性が高くなります。特に根の部分が折れてしまうと抜歯になる可能性が非常に高いため、神経を残す治療を行うことが重要です。
当院では、極力歯の神経を残し、歯の寿命を延ばすために「MTAセメント」を用いた歯髄(=歯の神経)温存療法を行っています。
「MTAセメント」を使用した
歯髄温存療法
MTAセメントを使用した歯髄温存療法の症例を紹介します。
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STEP.1
う蝕除去
詰め物を除去すると虫歯になっていたため、感染歯質を全て取り除きました。虫歯はなくなりましたが神経が露出してしまったため、通常であれば神経を取る処置に以降しなければいけません。しかし、患者様のご希望もあり、神経を残す治療にトライすることになりました。
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STEP.2
部分断髄
上部の虫歯菌に感染した神経だけを取り除きます。その部分をふさぐようにMTAセメントを充填します。
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STEP.3
MTAセメントの充填
MTAセメントのうえに、さらにすぐ固まるMTAセメントを充填します。
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STEP.4
経過観察
穴を埋めて仮の蓋をしたらこの日の治療は終了です。1~3ヶ月ほど経過を観察し、神経が残せると判断できれば最終的な修復物(詰め物や被せ物)に置き換えます。
※治療後すぐにズキズキするような自発痛(何もしなくても痛みが出る状態)が出て引かない場合は神経の内部まで虫歯菌に感染しているため、神経を取る処置が必要になります。
MTAセメントの特性
MTAセメントはさまざまな特性があります。まず1つめは強アルカリ性で殺菌力が高い点です。多くの細菌はpH(ペーハー)9.5程度で死滅すると言われていますが、MTAセメントはそれよりも強いpH12.5を示す強アルカリ性です。
MTAセメントは硬化する際に膨張する性質があるため、スペースを隙間なく緊密に埋めることが可能です。この性質は、細菌の侵入防止に役立っています。さらに、MTAセメントは人間の身体の相性を表す生体親和性が高く、細胞毒性が非常に低いと言われています。また、一般的なセメント(接着剤や詰め物)は水分があると接着力が低下しますが、MTAセメントは親水性(水と馴染みやすい性質)があるため、血液や組織液の排除が難しい部分にも使用可能です。
MTAセメントによる治療は保険適用外となります。
MTAセメント使用のメリット
MTAセメントによる覆髄処置を行うことで、歯の神経を保存できる可能性が高まり、虫歯が神経に近接・到達していた場合でも神経を全て取らずに保存できる可能性があります。それにより歯の切削量を最小限に抑えることができます。
MTAセメント使用のデメリット
MTAセメントは全ての虫歯に対して処置できるわけではなく、細菌感染が進んで何もしなくてもズキズキ痛んだり、温かいものでしみる症状がある場合は適用となりません。MTAセメントによる治療の可否は、虫歯の状態を直接確認してから判断する必要があります。 治療直後はセメントによる刺激によって一時的に神経が過敏になるため、熱などの刺激でしみることがあります。
虫歯はなぜできる? Why can I have a tooth decay?
虫歯は虫歯菌が作り出す酸やお口に停滞した酸性物質によって歯が溶かされる病気です。一番外側のエナメル質だけが虫歯になっているごく初期の場合は歯磨きやクリーニングで経過をみることもできますが、進行して内側の象牙質が虫歯になってしまうと、治療が必要です。
虫歯はカリエス(caries)といい、頭文字のCに1~4の進行度を表す数字をつけて進行段階を区別します(Co,C1,C2,C3,C4)。進行段階によって痛みの有無やどんな風に痛むのかが変わり、治療法も異なってきます。
虫歯の進行段階と治療法
【Co】エナメル質表面がわずかに脱灰している状態
透明感の無い白色。
痛みはありません。 😀
Co(シーオー)は経過観察(Observation)の必要な初期の虫歯です。
目に見える穴が開く前のごく初期の虫歯で、歯の表面には脱灰がおこっています。歯の脱灰とは「虫歯菌の産生した酸により歯の表面からミネラル分が溶けだした」現象です。ミネラル分が溶けだした歯の表面は白くなり、光沢を失い、やがてぼそぼそとした塑像な表面になります。
脱灰している部分を毎日欠かさず丁寧に歯磨きできていれば、再石灰化によりこれ以上進行しません。
【Co】の治療法
積極的な治療はせずに、経過観察を続けます。
正しい歯磨き法を習得して頂き、毎日きちんと歯磨きして頂きます。また、甘いものを頻繁に取らないように気を付けてください。フッ素を積極的に利用すると再石灰化も促進されます。甘いものを食べたい場合は代用甘味料(キシリトールなど)の入ったものがお勧めです。
【C1】エナメル質内部
まで溶けた状態
白色、灰色など。
痛みはありません。🙂
虫歯が歯の最表層のエナメル質にとどまっている段階です。ごく軽度で、管理がしやすい部位であればCoと同様に経過観察をすることもあります。
【C1】の治療法
コンポジットレジン修復
虫歯の部分のみを取り除き、白いプラスチックの詰め物を詰めます。
コンポジットレジン修復の利点
- 治療回数が少ない。
- 削る量が少ない。
- 白い詰め物なので目立たない。
コンポジットレジン修復の欠点
- 唾液を吸って変色し、劣化する。
- 境目に着色が起こる。
- 柔らかいので削れやすく、摩耗する。
ダイレクトボンディング(保険外診療)について
ダイレクトボンディングとはレジン充填(むしばを削ってプラスチックを詰める治療)を発展させたアメリカ発の新しい治療法です。
何十色もあるレジンの中から歯の構造、色調に合わせて何層にもレジンを重ねて詰めます。
天然歯の透明感や光沢感を出し、色のグラデーションや細かいニュアンスにこだわっています。拡大鏡を駆使した精密な治療のため1時間ほどかかりますが、虫歯の再発率を下げることが可能です。
(*)咬みあわせや虫歯の大きさ、部位によってはこの治療法が適さない場合もあります。
虫歯の範囲が広くなると、インレー修復という治療が必要になります。いわゆる詰め物で、歯の形を整えて型を採り、技工所で作製した物を歯に装着するという方法です。奥歯で歯とはの間が大きな虫歯になっている場合などに適用となります。保険診療では銀歯になりますが、当院ではセラミックなどの自由診療も得意とする歯科医師が治療を行っています。
【C2】象牙質に達した
状態
灰色・黒色。冷たいもの、甘いものなどで痛みを感じる。
しみる。🙁
エナメル質の内部、象牙質まで虫歯が進行した状態です。象牙質には象牙細管という組織が走り神経に刺激を伝達するので、冷たいものや甘いものが滲みる、痛いといった自覚症状が出てきます。穴の深さによっては熱いものでも痛みや違和感を感じるようになります。
【C2】の治療法
局所麻酔をし、切削器具で虫歯を取りきります。虫歯が小さく力がかかりにくい部位の場合コンポジットレジン修復が可能です。強度が必要な部位には銀の詰め物(メタルインレー)やセラミックの詰め物(セラミックインレー)を詰めます。*セラミック修復は自費診療になります。
銀歯とセラミックの比較
銀歯は外してみると中が虫歯になっている場合が多く、その原因としてセラミックと比較して適合精度の違いや接着剤が劣化しやすいこと、銀歯が腐食してしまうことがあげられます。また銀歯は銀と金、パラジウム、銅、インジウムなどで作られた合金です。これらの金属がお口の中でイオン化して溶け出し胃や腸で吸収され血液で運ばれて皮膚などに金属アレルギーを起こす場合があります。
世界的にお口の中から金属を無くし、金属を使わない「メタルフリー歯科治療」の流れが加速しています。生態親和性が高いセラミック修復は天然の歯に近い透明感のある白さと形態を与えることができ、奥歯においてもかみ合わせを考慮したものができます。
【C3】歯の神経(歯髄)まで達した状態
茶色、黒色。激しい痛みを伴う。😭
虫歯が神経まで達した状態で、それまで我慢していても、この痛みに耐えられなくなって歯科医院を受診される方が多いです。
虫歯がゆっくり進行していたり、詰め物の下で虫歯になっていたりするとC3でもあまり痛みを感じないこともあります。
痛みがないまま放置されると歯の神経は気づかぬ間に死んでしまいます。歯の神経が死ぬと痛みは全く無くなりますが、治ったわけではなく、歯の中で細菌が繁殖します。
【C3】の治療法
神経まで達した虫歯の場合、麻酔をして神経を取り除く「抜髄(ばつずい)」を行います。歯を残すことは可能ですが、抜髄後は歯根の中の消毒を行う「根管治療」が必要です。歯根の中が完全にきれいになったら最終的な薬を詰めて土台を立て、被せ物の型取りを行い、出来上がった補綴物を装着して機能を取り戻します。
【C4】歯が崩壊して、根だけの状態
痛みはもう感じません。(体の免疫力が落ちた時など急に腫れて著しい痛みが出ます。)😱
虫歯が進行し歯のほとんどが溶けたり、かけたりして根だけになった状態です。激しい痛みは治まりますが歯を残すことはできず、残念ながら抜歯を行い、入れ歯やインプラントなどの治療を行って噛む機能を回復させる治療が必要です。
痛くなくなったからといってそのまま放置しておくと、根の先に潜んでいる細菌によって痛みが起こり、顎の腫れや発熱などの全身症状が起こる「骨髄炎」を引き起こしてしまいます。また細菌が血管の中に入りこんで炎症を起こした場合、抗生物質の点滴などを行う必要があります。
【C4】の治療法
歯を抜いた後そのままにしておくと、多くの場合近隣の歯が伸びてきて咬み合わせが乱れます。そのことにより新たな虫歯や歯の亀裂が起こり、連鎖的に他の歯まで悪くなることがあります。抜いた後の歯を補う処置には次のような選択肢があります。
①入れ歯
失った歯を取り外し式の義歯で補う方法です。残った歯に爪(クラスプ)をかける部分入れ歯と粘膜に吸着させて保持する総入れ歯があります。
利点
- 歯を大きく削らなくて済む
- 外せるため歯磨きが楽
- 多数歯の欠損に向いている
欠点
- 保険適応の場合、クラスプが目立つ
- クラスプがかかる歯に負担がかかる
- 慣れるまで痛みや違和感を感じる
- 噛む力が弱い
- 取り外しの手間がある
②ブリッジ
失った歯があった部分の左右に生えている歯を支柱として「橋」をかけるように人工の歯を入れる治療法のことをいいます。
利点
- 着脱の手間がない
- 噛み心地がほぼ天然歯と同じ
欠点
- 両隣の歯を大きく削らなければいけない
- 両隣の歯に負担がかかる
- 取り外しできないので歯磨きが難しい
③自家歯牙移植
歯を抜いた穴に、ご自身の別の歯を抜歯し、植えて定着させる方法です
利点
- 両隣の歯を傷つけない
- 健康保険が適応できる
欠点
- 外科処置を伴う
- 適応できる症例が限られている
- 治療期間が長くなることがある
- インプラントと比較し予後が安定しない
④インプラント
失人工歯根を歯を失った部分のあごの骨に埋入し、その上に冠を被せる治療法です。
利点
- 噛み心地が天然歯に近い
- 両隣の歯を傷つけない
- 自家歯牙移植と比較すると安定している
欠点
- 外科処置を伴う
- 健康保険が適応できない
- 治療期間が長くなることがある
治療の種類
Type1
- 治療前
- 治療後
虫歯が小さい場合はCR充填という治療を行います。白い詰め物で治せるため目立たず、処置も1回で終わります。保険診療で白い素材を使用できますが、劣化しやすく、外れたり色が着いたりしやすいという欠点があります。より目立たず、虫歯が再発しにくい治療をご希望の方にはダイレクトボンディングという治療法もあります。
Type2
- 治療前
- 治療後
虫歯の範囲が広くなると、インレー修復という治療が必要になります。いわゆる詰め物で、歯の形を整えて型を採り、技工所で作製した物を歯に装着するという方法です。奥歯で歯とはの間が大きな虫歯になっている場合などに適用となります。保険診療では銀歯になりますが、当院ではセラミックなどの自由診療も得意とする歯科医師が治療を行っています。
Type3
虫歯の面積が広かったり、根の治療をした後はクラウン修復という治療が必要になります。クラウンは被せ物のことで、残った歯質を保護してくれる効果もあり、噛み合わせや見た目を改善できる場合もあります。保険診療では、奥歯は銀歯、前歯は銀歯にプラスチックを貼り付けたものになります。自由診療では質感が天然歯のようなセラミックや強度の高いジルコニアでの治療も可能です。